2011年春の気になるアニメ [アニメ]

・あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
実際には自分のせいでではないのかもしれないが、罪の意識。何かをやり残した感覚。季節が巡り、夏がくる度に感じる懐かしさと悲しさは、その罪の記憶に由来する。精算されることなくわだかまり続けるその記憶を受け入れることで人が大人になるのだとすれば、そのプロセスで生じる葛藤が青春と呼ばれるのだろう。トラドラのスタッフが再結集して制作された青春の物語。

・電波女と青春男
相変わらずの新房クオリティ。上半身をふとんで簀巻きにして顔を見せないヒロイン。小説なら字面だけなのでそれなりに場面になるが、映像としては、定型手法が使えない困難なシチュエーション。それを下半身を緻密に描く機会に転化する機転がすごい。この監督は、描こうとする対象が新奇であればあるほど、おもしろさを積み上げていくことができる、生粋の実験精神持ち主であるように思う。

・俺たちに翼はない
群像劇。バッカーノやデュラララのように、一つの物語を複数視点で描くのではなく、色々な物語の要素をごった煮にして、本当に群像的にキャラクターたちの状況を描写して見せた2話までが目新しい。

・DOG DAYS
アニメで戦争を描く難しさを、極端な方法で解決している。この安穏とした世界観自体が問題となるなら、話としての深みが一気に深まるだろう。

・花咲くいろは
祖母の経営する温泉旅館に、住み込みで働くことになった高校生が主人公。温泉宿の描写が緻密。朝の連続ドラマのような、実社会と若者の衝突が描かれる。千と千尋の神隠しの千尋もそうだったが、きついことを言われても、困難な状況にあっても、その不条理な事態自体には異議を唱えず、ケロッと受け流してしまう主人公のしなやかさが現代的。人は人、自分は自分。価値相対主義によって自分の価値観を守りつつ、言いたいことは言うというスタイル。

・日常
京都アニメーションの新作。可愛らしいデザインと過剰なマンガ的技法のギャップがシュールな原作の持ち味を生かせるのは、京都アニメーションのパワーがあってこそ。自分たちの強みを生かした原作選びが特異なのが、この製作会社がヒットメーカーであり続ける理由かもしれない。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

放浪息子2011年夏の気になるアニメ ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。