2011年夏の気になるアニメ [アニメ]

大分経ってしまったけれど、七月開始の気になるアニメ。

・夏目友人帳参
ホロリとさせられる話作りが巧い。一話の茶碗の話など。同じスタッフによる劇場作品も控えているので楽しみ。シリーズがここまで続いたのは、主役二人の演技による部分も大きいと思う。

・ぬらりひょんの孫 千年魔京
第一期は途中で見るのを止めてしまったが、こちらは続いて視聴中。昔の藤田和日朗の漫画を思わせる、ちょっと、ダークでバイオレンスな表現が、ローカル局とは言え、とても六時台のアニメとは思えない。

・ゆるゆり
色々とギミックが仕込まれていて、実は侮れない。第四話で海に行く回があるが、紹介のあった登場人数よりも明らかに一人多いのだが、説明がない。その正体が九話でようやく明かされたり。主人公の影の薄さをネタにしているのは、おそらくほんの序の口、と期待する。

・うさぎドロップ
音楽が良い。子育ての経験のない独身男性が、女の子を引き取り育てるという設定は、冷静に考えるとかなりファンタジーなんだろうけれども、この音楽が流れると、そういうこともあっても良いか、という気になる。

・THE IDOLM@STER
第一話のモキュメンタリー風の演出が面白く斬新。そのまま、シリーズ通してくれても良かった。ある意味でダンタリアンの書架よりも、ガイナックスらしく見える。時々、山内監督なんかが絵コンテで参加しているので油断ならない。

・輪るピングドラム
十年以上待った幾原監督作品。思わせぶりで謎の多い展開。それでも、何かを感じさせるのは、監督の中に明確なビジョンがあるからだろう。ちょっと、ここ数回は停滞気味だったが、それでも今期一番の注目。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

2011年春の気になるアニメ [アニメ]

・あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
実際には自分のせいでではないのかもしれないが、罪の意識。何かをやり残した感覚。季節が巡り、夏がくる度に感じる懐かしさと悲しさは、その罪の記憶に由来する。精算されることなくわだかまり続けるその記憶を受け入れることで人が大人になるのだとすれば、そのプロセスで生じる葛藤が青春と呼ばれるのだろう。トラドラのスタッフが再結集して制作された青春の物語。

・電波女と青春男
相変わらずの新房クオリティ。上半身をふとんで簀巻きにして顔を見せないヒロイン。小説なら字面だけなのでそれなりに場面になるが、映像としては、定型手法が使えない困難なシチュエーション。それを下半身を緻密に描く機会に転化する機転がすごい。この監督は、描こうとする対象が新奇であればあるほど、おもしろさを積み上げていくことができる、生粋の実験精神持ち主であるように思う。

・俺たちに翼はない
群像劇。バッカーノやデュラララのように、一つの物語を複数視点で描くのではなく、色々な物語の要素をごった煮にして、本当に群像的にキャラクターたちの状況を描写して見せた2話までが目新しい。

・DOG DAYS
アニメで戦争を描く難しさを、極端な方法で解決している。この安穏とした世界観自体が問題となるなら、話としての深みが一気に深まるだろう。

・花咲くいろは
祖母の経営する温泉旅館に、住み込みで働くことになった高校生が主人公。温泉宿の描写が緻密。朝の連続ドラマのような、実社会と若者の衝突が描かれる。千と千尋の神隠しの千尋もそうだったが、きついことを言われても、困難な状況にあっても、その不条理な事態自体には異議を唱えず、ケロッと受け流してしまう主人公のしなやかさが現代的。人は人、自分は自分。価値相対主義によって自分の価値観を守りつつ、言いたいことは言うというスタイル。

・日常
京都アニメーションの新作。可愛らしいデザインと過剰なマンガ的技法のギャップがシュールな原作の持ち味を生かせるのは、京都アニメーションのパワーがあってこそ。自分たちの強みを生かした原作選びが特異なのが、この製作会社がヒットメーカーであり続ける理由かもしれない。

放浪息子 [アニメ]

女の子の格好をしたい男の子と、男の子の格好をしたい女の子の物語。性の分化を迎え、変わり始めた体と心のありかたに戸惑う中学生という年頃の心理が、特異な設定により引き立てられ、水彩画のような透明感のある独特なタッチにで、叙情性豊かに描き出される。
生き生きとした登場人物の描写。
成長の途上にあり、大人である部分と子供である部分が混在する年頃。
自分を取り囲む周囲と、どうつき合えば良いか分からなく不器用。膨らむ感情を持て余してアンバランス。呆れるほど無神経で愚かでもあれば、悲しいぐらい繊細で、驚くほど、他者に対して優しくもなれる。
そのような彼らの成長が、それぞれのキャラクターについて描き分けられている。

子供の頃の思い出、思春期の記憶というものは美しい。だが、それは同時に痛みの記憶でもある。
子供であることをやめ、大人になろうとするときに引き受けなければならない痛みがある。真夜中に降りつもった雪のように、静かで鈍い痛み。自分を守る殻を破り、むき出しの自我で、初めて世界と対峙した時に受けた傷の記憶。
その痛みを経験しなければ、いくら成功体験を積んで、自信と強さを手に入れても、その世界を愛せない。優しさは手に入らない。

誰しもがどこかで経験してきたはずのその痛み。
その痛みの記憶を呼び覚ますこの作品は、自分の中にあるはずの優しさの起源に遡るきっかけを与えてくれるように思う。

公式サイト↓
http://www.houroumusuko.jp/
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

今期の気になるアニメ2011冬 [アニメ]

今期の気になるアニメメモ。順不同にて。

■これはゾンビですか?
間が独特。エフェクトやアクション、音楽は割と硬派な作りなのに、やっている内容がどことなくずれていくのが可笑しい。

■夢喰いメリー
山内監督の美意識で統率された画面が格好良い。寄るべきところからさらに一歩踏み込んで寄る大胆なアップと、説明のために間をつなぐワンカットを省くブツ切りのカットの多用で、三半規管がカクテルされる酩酊感。背景美術がピンポイントでリアリスティックなのがアクセントになっている。メリーの目が羊の目になっているのも面白い。

■まどかマギカ
新房監督と梶浦サウンドの組み合わせが、コゼットの肖像を思い出させる。そこに虚淵脚本が加わったとあれば、キャラデザがひだまりスケッチでも油断ならない。OPで主人公の笑顔がほとんど描かれないのが不穏。アニメ絵そのものの気持ちよさをデザインとして突き詰めた演出は、他の追随を許さない。

■ドラゴンクライシス!
主線を省いた絵が綺麗。冒頭で空の冷蔵庫を主人公が開けるシーンがあるが、最後に、同居人が増えたところで、冷蔵庫がちゃんと埋まっている。シーンを説明、あるいは記号として処理してしまわない、こういう細かい演出が心憎い。

■君に届け2
第一期からの継続視聴。

■放浪息子
大人になる準備を整える中学生という年頃。成長する自分自身を持て余し、感情と行動を制御できないアンバランスさが痛々しく、切ない。淡い色調と柔らかい描線で描かれたキャラクター。一方の背景美術もファンタジックなタッチで描かれながらも、重くて硬い。両者の対比で、人物の行動がふわりと現実から浮上し、夢うつつの曖昧な領域へと見る者を誘う。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

今期の気になるアニメ [アニメ]

・おとめ妖怪ざくろ
鮮やかな赤色を大胆に使ったレイアウトなど、画作りがきれい。わらべ歌のような戦闘曲も雰囲気があり、日本人の民族的な感性を存分に刺激する。長谷川真也のキャラデザインに惹かれるのは、刷り込みによるものもあるが、少女漫画的な繊細な心情の機微を表現するのに向いており、作品全体の傾向を決定する重要なファクター。見る前は、「サクラ大戦」のような話を想像していたが、実際は全く違っていた。タイトルが示すように、「乙女」な妖怪の話。

・STAR DRIVER 銀色のタクト
キテレツなネーミングセンスや台詞回しでネタアニメと見られがちだが、しっかりとしたテーマに沿って物語られているように思う。何をしにこの学園にやってきたのか?という問いに、主人公はストレートに答えている。「すごいことしに来た」「共に青春を謳歌しよう」おそらく、その言葉の通りなのだろう。「少女革命ウテナ」と似た構造を持っている点も、ウテナのスタッフが十年以上を経てどのような回答に至ったのかという点において興味深い。

・ヨスガノソラ
成人ゲームが原作ではあるが、自然の山村風景との対比で関係を描くことで、週刊誌のゴシップにあるような下世話な視線をそらすことに、ある程度成功しているように思う。丁寧なロケハンと背景美術、ロングショットを活かした構図の妙。

・神のみぞしるセカイ
渡辺明夫+マングローブ。それだけで気になる。「ゲームとリアルは違う」と主人公に言わせながら、ゲームよりゲームらしいキャラ造形が確信犯的で面白い。

・荒川アンダーザブリッヂ第二期
一話冒頭の抽象的なイメージシーケンスがノスタルジック。往時のギャグの合間、不意打ちのようにしんみりとさせる瞬間の落差が良い。

・探偵オペラミルキィホームズ
物語を全面的に否定しているようなスタンス。カタルシスをもたらすはずの王道的な展開を片端から蹴飛ばして、不条理の瀬戸際で、脱力ナンセンスのギャグを飛ばす。諸々の制約から自由であろうと足掻いているようにも見えるこのアニメが、実は、今期一番アグレッシブに前衛的なのではないかという気がする。
nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

REDLINE [アニメ]

人間の描く線は正確ではない。現実を写しても、歪にゆがむ。
現実に存在しないものであれば、尚更である。
だが、その差分こそが、人間を人間たらしめる想像力、魂と呼ばれるものではなかったか。

作画枚数10万枚という無謀。
デジタル全盛の時代、敢えて手書きの意地。
リーゼントが象徴する、ストレート過ぎたロマンチシズム。
理屈ではない。
全身を震わせる音楽と、魂込められた線がうねる画面の完全なシンクロは、
「快感」の一言に尽きる。

記号としての絵を動かし、複雑なプロットと設定の大伽藍を築く作品が氾濫する中、
アニメというのは、「絵」を動かし、見るものの魂に触れる表現手法なのだと思い出させてくれる。
筋立てを説明しても意味がない。
鑑賞ではなく、体感するという方が相応しい。

テレビシリーズでは絶対に不可能な、七年という制作期間。
この無謀で贅沢な試みは、大画面と大音響でこそ真価を発揮する。
可能であれば、DVDの発売を待たず、劇場で体験することをお勧めする。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- [アニメ]

ネタバレ有りなので、未見の方はご注意ください。





意志の疎通が図れるかどうかも分からない外からの侵略者を、力により撃退する。
実に分かり易い。
それが昨今のハリウッド映画的な思考であるとすれば、ガンダム00はその逆を行く。対話だ。正体不明の相手にでさえ、あくまで相互理解を試みる。

ガンダムシリーズの重要なキーワードとして、ニュータイプという言葉がある。宇宙に進出した人類が能力を進化させ、誤解無く他者と分かり合う力を手に入れた姿。ガンダム00では、似たような概念として、イノベーターという存在が描かれる。

しかし、イノベーターは果たしてニュータイプの単なる言い換えだったのか。

おそらく、それは違う。
人の革新という超能力のようなファンタジーに可能性を見いだすのではなく、あくまで「対話」という現実的な行為による他者との相互理解を目指したのが、ガンダム00という作品だ。
ニュータイプという存在を理想として示しつつも、人間の種としての進化が、その理想の体現に必要であるとはしない。種としての進化、それがイノベーターである。だが、この作品において、イノベーターであることは、他者と理解し合うための決定的な条件ではない。
今回の劇場版で初めて登場するイノベーター、デカルト・シャーマン。彼は、旧人類を劣等種と見なし、他者と理解し合えるイノベーターの能力に目覚めながらも、対話を拒絶する。結果、彼は何ものも成すことなく、戦場の露と消える。
一方で、主人公、刹那は、対話を諦めない。イノベーターとして覚醒した自分自身に戸惑いながらも、彼を支える周囲の人間の想いを受け止め、未知の相手を理解しようと、死力を尽くし、結果、世界を救う。それは刹那の力だけではない。彼が意識を取り戻すことができたのは、フェルトの想いも含め、周囲の人間の彼への理解があったからだ。
他者と理解し合うために必要なのは、進化によってもたらされる超能力ではなく、他者を理解しようとする意志と、強い想いだけ。あくまで対話を目指す信念だけが、世界を変えうる希望になる。

互いを理解し合えれば争いがなくなるという考えは、少し楽観的に過ぎるかもしれない。
それでも、この純粋な物語を衒いもなく描けたのはアニメならではの力であり、今の時勢に、発信されたメッセージとして、凡百の反戦映画よりも説得力をもって心に響いた。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

カラフル [アニメ]

クレヨンしんちゃんシリーズの劇場作品で知られる原恵一監督が、森絵都の小説を映像化。
家族という絆への肯定的なメッセージを発し続けてきた原監督と、同じく、何かしらの格好悪さを抱えながらもそれを認め、支え合う家族のあり方を描き続けてきた原作者の出会いは、必然だったように思う。
血のつながりと過ごした時間の長さ。その二つが、つい、互いのことを理解したつもりにさせ、軽蔑と諦めから、互いに埋められない溝があると意固地にさせてしまう。
だが、そこで見ている相手の顔は、その人の一面でしかなく、長い時間を一緒に暮らした家族でも、知らない顔をいくつも持っていたりする。もちろん、それは良い顔ばかりではないかもしれないが、全てを諦める前に、そのことに眼を向ける価値はある。
この映画はそれを示して見せようとしている。
大事な場面に、それぞれ鍵となる色が用意されており、カラフルというタイトルに込められた意味に、文字通り、鮮やかな彩りを与える。劇伴も同じテーマが繰り返し登場するが、全て場面に合わせたアレンジが施されており、色とりどりの顔を見せる。
世界は多様な色で満ちあふれている。
一つの色にこだわるのではなく、その鮮やかさを楽しむが良いと、この映画は、告げている。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アニメ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。